AI導入の立て直し、誰に相談すればいいですか

第一基準は、利害が切れているか。導入や再構築を売る相手は、構造的に「やめる」という結論を出しにくいからです。次に、やらないことの明文化と、診断と実装が分離しているかを見ます。

2026年6月時点

入れたAIツールが、止まっている。立て直したいのか、やめたいのか、それすらまだ決めかねている。ただひとつ確かなのは、導入してくれたベンダーには「失敗した」とは言いに行けない、ということ。そうやって夜にひとりで検索して、このページにたどり着いた方へ。この記事は、その夜の検索に答えるために書きました。

先に、僕の立場をお伝えします。僕自身が、AI導入の立て直しを売る側の人間です。だからこのページの基準は、僕の会社に不利にも働くように書きました。基準で測ってみて、合わなければ、僕のところに来なくていい。そう思って書いています。

相談先のタイプを地図にして、選ぶための基準を5つ。最後に、無料で相談できる公的な窓口まで、順番に整理してあります。

なぜ、導入したベンダーには相談しづらいのか

まず、その「言いに行けない」という感覚の正体から書きます。

あなたが言い出せないのは、気が弱いからでも、相手のベンダーが悪い会社だからでもありません。導入したツールを売った相手は、そのツールを「やめる」という結論を出しにくい立場にいます。売上がかかっているからではなく、自分が良かれと思って納めたものを、自分の手で否定することになるからです。これは人格の問題ではなく、利害と立場の構造の問題です。

一方で、公平に書いておきたいことがあります。あなたの会社のシステムと契約について、いちばん情報を持っているのも、そのベンダーです。設定の中身、契約の条件、解約時の扱い。これらを正確に答えられる相手は他にいません。だから「ベンダーには一切相談するな」という話ではないのです。

それでも、「『診断します』と言いながら、最後は何かを売られるのではないか」という警戒が頭をよぎるなら、その感覚は正当です。疑り深いのではなく、構造を正しく見ています。

医療で、手術をすすめた医師とは別の医師に意見を聞くことを、セカンドオピニオンと呼びます。すすめた本人に「本当に手術が必要ですか」と聞いても、答えは構造的に偏る。だから利害のない別の医師に聞く。AI導入の立て直しも、同じ場面に来ています。

相談先の地図。5つのタイプ

相談先は、大きく5つに分かれます。順番に書きます。

1. 無料の公的窓口(中小機構・よろず支援拠点)

まず、ここです。国が用意している無料の相談窓口で、費用はかかりません。「何に困っているのかが、まだ整理できていない」段階でも付き合ってくれます。お金をかける前に頭を整理する場所として、最初の選択肢にしてください。詳しくは後半の「まず無料で相談できる、公的な窓口」に窓口名とリンクをまとめてあります。

2. 導入したベンダー本人

利害はあります。ただ、あなたの会社のシステムについて最も情報を持っているのも、この相手です。設定・契約・解約条件といった事実の確認には欠かせません。事実を聞く相手としては一級で、「やめるかどうか」の結論を委ねる相手としては構造的に向いていない。その切り分けで付き合うのが現実的です。

3. 導入支援・定着顧問型の会社

導入したツールを定着させ、使い続けられるように伴走する会社です。使い方の浸透には強い味方になります。ただし、顧問契約という形の性質上、「使い続ける」前提で話が組み立てられやすい構造があります。これも善し悪しの話ではなく、立場上そうなりやすい、という話です。「やめる」を含めた診断が欲しい場面では、立場が合いません。

4. 診断・立て直し専門(ベンダーフリー / セカンドオピニオン型)

特定のツールやベンダーと利害関係を持たず、「やめる」という選択肢を含めて診断する立場です。ベンダーフリー、あるいは医療になぞらえてセカンドオピニオンと呼ばれます。近い領域を「AIアセスメント」と呼ぶ会社もあります。利害が切れているぶん、結論に縛りがない。これが他のタイプとのいちばんの違いです。僕の会社も、このタイプに入ります。

5. 大手コンサルティング会社・大手SIer

体制は厚く、大規模なシステム全体の見直しには向いています。ただ、規模と費用の前提が大きく、中小企業の「入れたツールが1本、止まっている」という相談とはミスマッチになりやすい。大手に頼む規模ではない会社の相談先が、4の診断専門と1の公的窓口です。この位置取りを知っているだけで、探す範囲がだいぶ絞れます。

相談先を選ぶ、5つの基準

ここが、このページの核です。相談先の名前ではなく、測り方を持って帰ってください。

基準1. 「やめる」という結論を出せる立場か

AI導入の相談先を選ぶ第一基準は、相手が「やめる」という結論を出せる立場かどうかです。導入や再構築を売る側は、構造的にその結論を出しにくい。だから最初に、相手とツールやベンダーとの利害が切れているかを確認します。なお、やめるか残すか自体の判断基準は、別ページに分けて書きました(効果が出ないAIツール、解約すべきですか)。

基準2. やらないことが明文化されているか

「何でもできます」と書いてある相手より、「これはやりません」と書いてある相手のほうが、診断の出口を信用できます。やらないことを先に宣言している相手は、診断の結論をそこへ誘導できないからです。サービスページに、やらないことの記載があるかを見てください。

基準3. 価格・期間・納品物が事前に明文か

会う前に、いくらで、どのくらいの期間で、何が手元に残るのかが書かれているかを確認します。事前に書けないということは、会ってから見積もりが膨らむ余地がある、ということです。逆に事前に明文化している相手は、その範囲で仕事を終える前提で設計しています。

基準4. 会社の規模に合っているか

相談先の体制が大きいほど、提案も費用も大きくなりやすい。自社の規模に対して大きすぎる相手に頼むと、「立て直し」のはずが「全面刷新」の提案になって返ってくることがあります。自社と同じ目線で、自社の規模の事情を分かる相手かどうかを見てください。

基準5. 診断と実装が分離しているか

診断だけ頼んで、診断だけで終えられるか。これが最後の基準です。診断と実装が同じ契約の中で一体になっていると、診断が次の受注の入口として働きます。診断は診断、実装は実装と、商品が分かれている相手なら、診断の結論が「何もしなくていい」でも成立します。

まず無料で相談できる、公的な窓口

基準の話をしておいて、最初におすすめするのは僕の会社ではありません。無料の公的窓口です。

社交辞令ではなく、本気で書いています。お金をかける前に、まずここで話して頭を整理してからでいい。整理した結果、無料の範囲で答えが出るなら、それがいちばんいい結末です。

なお、止まっているツールを補助金で導入した場合は、やめ方に手続きが絡みます。その場合は先に「IT導入補助金で入れたAIツール、解約したら返還ですか」を読んでください。

この基準で、僕の会社も測ってください

最後に、約束どおり、この5つの基準を僕の会社に当てます。

基準1、やめるという結論を出せるか。出せます。僕の診断は、結論が「全部やめる」でも構わない設計です。立て直しを売る側ですが、診断と立て直しは別の商品なので、診断の結論を立て直しに寄せる必要がありません。

基準2、やらないことの明文化。ここに書きます。

  • 新しいAIツールの導入は売りません。
  • 研修は売りません。
  • 診断のあとに、こちらから営業はしません。

基準3、価格・期間・納品物。事前に明文化しています。会ってから増えることはありません。

基準4、規模。僕は一人の法人です。大きな体制が必要な案件には向きませんが、そのぶん、中小規模の会社と同じ目線で話せます。

基準5、診断と実装の分離。診断(死蔵AIの棚卸しと診断)と立て直し(止まったAIの立て直し)は別の商品です。診断だけで終えて、何も契約しなくて構いません。

逆に、合わない場合も正直に書きます。大規模な体制が要る案件は、僕には向きません。そして、無料の窓口で十分整理がつきそうなケースは、ひとつ前のセクションの公的窓口から始めてください。それで足りるなら、僕の出番はないほうがいいのです。

よくあるご質問

導入してくれたベンダーに、そのまま相談してはいけませんか

いけなくはありません。あなたの会社のシステムと契約について、最も情報を持っているのはそのベンダーです。設定や契約条件など、事実の確認はベンダーに聞くのが早い。ただし、「やめる」という結論は構造的に出にくい立場なので、やめるかどうかの判断は、利害のない相手のセカンドオピニオンを併用することをおすすめします。

診断だけ頼んで、そのあと何も契約しなくてもいいのでしょうか

いいです。そして、それを明文で約束している相手を選んでください。やらないことが書いてあるか(基準2)、診断と実装が別の商品になっているか(基準5)を事前に確認すれば、診断だけで終えても気まずくならない相手かどうかは、会う前に分かります。

無料の公的窓口と民間の診断、どちらに先に相談すべきですか

先に、無料の公的窓口でいいです。中小機構のIT経営サポートセンターとよろず支援拠点は費用がかからず、悩みの整理から付き合ってくれます。自社固有の事情まで踏み込んだ結論や、社内にそのまま出せる診断結果が必要になったときが、民間の診断の出番です。

相談する

ここまで読んで、僕の会社が基準に合いそうだと感じた方は、メールでご相談ください。相談はメールのみです。下の相談文がそのまま使えます。会社名とお名前、状況をひとことだけ足してください。1〜3営業日以内に、僕が直接返信します。宛先は contact@our-soil.com です。

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最終更新: 2026年6月時点